月: 2016年9月

dscf3571

里帰り・・・

1791年、青年だったトーマス・ハインは固い決意の元イギリスのドルセットを旅立ち、フランス革命のさなかコニャック地方へと移り住みました。

外国人という身分ゆえ、スパイ容疑をかけられたり苦労するものの、コニャックの会社を経営する父を持つフランソワ・エリザベスと結婚、以後はコニャック造りに邁進していきます。

1822年にこの世を去るまでビジネスを繁栄させ、世界中でハインの品質が知られるまでに育てあげ、英国王室御用達にもなりました。

アーリーランデッド・コニャックとはフランス・コニャック地方で収穫、蒸留、樽詰めまでで止め、樽のまま英国に運び熟成、瓶詰めを行ったコニャックです。

このコニャックが熟成されたロンドン・テムズ川沿いの熟成庫は、熟成に最適な湿度などの諸条件が揃った理想的な場所ともいわれています。

またフランスAOCではコニャックにビンテージを入れるのは禁止されていますが、こちらは法律にかからないため「出来のいい年の葡萄」でつくられた1991年のビンテージしっかり入れられています。

「最高のビンテージ」と「最高の熟成条件」でしかつくられないのが“アーリーランデッド・コニャック”なのです。

トーマスの魂もテムズ川ほとりで優雅に味わっているのでしょうね・・・

dscf3551

連綿と続ける凄さ・・・

ペイドージュ地区に約27haの畑を持ち、その収穫からボトリングまで全てをデュポンファミリーが管理している家族経営のブランド(プロプリエテール)です。

デュポンブランドとして世界に向け正式に立ち上げたのは1980年、3代目当主のエティエンヌ・デュポン氏。

ですが1代目からカルヴァドスを造り続けており現当主は4代目ジェローム・デュポン氏です。

こちらの2本は40年以上の熟成品、一言で40年以上と申しますが彼らは自分が当主の時に造り上げた原酒の晴れの日を目にすることは中々出来ないのです。

祖父や父が大切に造り上げた原酒を自分の代で世に送り出し、そして自分が丹精込めて造った原酒を子や孫が世に送り出す。

日本人からすると気が遠くなるような時間感覚、作業を当たり前に家族で連綿と繰り返している凄い製品なのです。

それをしながらも世界に打って出て、今では世界中の高級レストランやバー、ホテルが取り扱っており、フランス国内ではタイユヴァンやトゥールダルジャンを始めとしてミシュラン3つ星レストランの半数以上がオンリスト、イギリスではハロッズやフォートナム&メイソンなども扱っています。

日本人のように相続税で三代後には財産無くなっちゃうとか考えてはやっていけません(笑)

dscf3567

dscf3570

伝説の再現・・・

1715年創業のマーテル社は2015年、創業300周年を迎えました。

こちらのボトルは1912年に誕生した伝説的なコニャック、『マーテル コルドンブルー』を、セラーマスターのブノワ・フィルが独自の感性を反映させて刷新した限定復刻版で、伝統的なスレンダーボトルのデザイン、ラベルも当初の趣を再現しています。

コニャック地方の最良の畑、プティット・シャンパーニュ、グランド・シャンパーニュ、ファン・ボア、ボルドリ―地区より、なんと100種以上の個性の違う原酒がブレンドされ(通常40種程度)、樹齢300年のオーク材を用いて熟成されました。

深みのあるアロマ、口当たりは非常になめらか、繊細で果実味あふれる味わいは広がり、長い余韻が楽しめます。

エレガントであり、でも複雑、マーテルのスタイルそのものです。

マーテル社は原点を振り返り、過去と現在をつなぐ300年のオーク樽を通じて、この限定のコニャックに対する敬意を表現しているそうです。

300年を一杯で体験できるなんて・・・

dscf3548

旅人の樹・・・

前回ご紹介したフランスニームの大金持ちボトラー、シャンタル・コンテ家のラムです。

酒名は、フランス語で「旅人の樹」という意味。

こちらはカリブ海マルティニーク島ラ・ファヴォリット蒸溜所で1998年に蒸留された優良原酒を2003年4月に瓶詰めした5年熟成です。

他にデパス蒸留所の原酒など、同じシリーズで以前はよくリリースしていました。

熟成年数が5年と侮ってはいけません、前回お伝えした通りシャンタルコンテ家はマルティニーク各蒸留所に強力な人脈を持っており、それを生かして優良原酒の中でも、さらに厳選された超優良原酒を購入することができるのです。

熟成感、まろやかさ、余韻、素晴らしい味わいです。

160919_140854

9月19日敬老の日、第一回チョコレート検定を受けてまいりました!!!

先に申し上げますが私、資格主義者ではございません。
どちらかと言えば自分で店を持った今、資格なんて・・・と思っている次第であります(笑)

とはいえ、ディジェスティフをテーマにお店を始めてチョコレートとお酒のマリアージュが一番大事なのはそうなのですが、もう少し基本的で具体的な知識も深めたいなぁとも思っておりました。

そこで見つけたチョコレート検定!!

腰の重い自分に勉強させる良いきっかけを見つけました(笑)

かいつまんだ独学では解りづらかった主要品種の個性から製造工程のコンチングやテンパリングなどの細かな意味、モールドやシェルなどの製法、クーベルチュール、センターに使うガナッシュやプラリネなどの使い方、世界のチョコレート事情から歴史、アグロフォレストリーなど何から何まで基本的な事を改めて教本で勉強し直せたのでとても良い機会になりました。

これだけ言っておいて試験、思いきり落ちてたりして・・・(汗)

発表がこわい・・・

dscf3547

貴族のラム!?

シャンタルコンテ家はフランスニームに本拠をもち、本業はワイン商。

フランスの名門で歴史ある家系であり、昔からの大金持ちで、敷地には広大な農園を始め、ゴルフコース、お城などがあり小さな町ならすっぽり入ってしまうような敷地を持っています。

そんな銘家なので、フランス本土以外にもマルティニック島など世界のフランス領の各地に強力な人脈を持っており、それを生かして各蒸留所の優良原酒の中でも、さらに厳選された超優良原酒を購入することができるのです。

約30数年ほど前にラムの取り扱いを開始。

直後に今となってはラム界の伝説、ラム・ラパランをリリースしました。

未確認余談情報ですが、マダムは日本びいきな方で、 日本文化にも造詣が深く、日本人が行くと歓迎してくれたり、南仏一帯のトヨタのディーラーなどもしているそうです。

そしてこちらのボトル、原酒はマリー・ギャラン島ビエール蒸溜所。

バーボン古樽による熟成でフィルター処理を施さずにブリュット・ド・フュ(カスクストレングス)でボトリングされた限定2000本。

オル・ダージュとは、フランス語で”年齢がわからないほど古い”の意味です。

アルコール度数を感じさせないコニャックと見紛うマロやかさで、激うまラムです (この言葉遣いでは貴族にはなれないなぁ・・・・笑)

dscf3549

男爵のカルヴァドス・・・

原酒の厳選とそのブレンド比率はパトリック・ドゥ・ラドゥセット男爵によるものです。

このカルヴァドスは、連続式蒸留器(アルマニャックタイプ:alambic à Colonne)で蒸留し、まず新樽で熟成させてから古樽に移し替えてさらに熟成を行い、8年から15年熟成の原酒をブレンドしてつくられています。

非常に豊かな香り。

余韻は長くフルーティーで上品な樽香のバランスが絶妙な素晴らしい味わいの優良佳酒です。

dscf3565

dscf3566

Exif_JPEG_PICTURE

華やかな香りはNo’1 ‼

本格的に秋めいてきてdoux bar のメイン商品、熟成ラム、コニャック、カルヴァドスが本当に美味しく感じる季節になってまいりました。

本日はカルバドス界の長老イシドール・ルモルトン氏がオーナーであるルモルトン家のカルバドスです。

ルモルトンは、カルヴァドス・ドムフロンテ地区の極めて小規模なメゾンで、生産量もかなり少量。

カルヴァドスにはウイスキーのブレンデッドのように洋梨(ポワレ)のスピリッツをAOCの規定容量ブレンドすることが許されています。

ルモルトンは他のカルヴァドスに比べると、ポワレの割合が非常に高く、ポワレ80%、リンゴ20%を原料として造られるそうです。

数十年前にルモルトンに初めて出逢った時、この情報に懐疑的でありましたが、現当主のご夫婦自身がそう言っていたとの記述を見つけたので間違いないようです。

しかし確実にリンゴのニュアンスが感じられ、梨とリンゴの特徴が見事に溶け合っています。

香りは非常に華やかで、味わいは柔らか、甘さと酸のバランスが絶妙で最高に美味しく秋の夜長、熟成カマンベールとのマリアージュなどで最良のひとときを過ごせます・・・

写真は上から25y、1972、1978、1986、1987、ラルーテと現当主ご夫妻です。

ぜひどうぞ!

poster21

20140606_8217991

164571_61

doux bar お客様の投稿に出てきてとても気になり久しぶりに映画を見ました。

いや~、久しぶりに考えさせられる、考えることのできる最高の映画でした。

ポールハギスの脚本は素晴らしい、こんな凄いものが書けるなんて天才です。

未だ余韻というか、少ないながらも挿入されている音楽も非常に印象的です。

なぜ今まで観なかったのだろう・・・

細かい感想、批評は私のような素人がネットに流すなんておこがましいので避けますがバーテンダー的視点ですと、まずマリア・ベロ、映画コヨーテアグリーで気丈な女性バーオーナーを演じていましたが今回も負けず劣らずでお元気そうでなによりです。

そしてバーでエイドリアン・ブロディとモラン・アティアスがリモンチェロをあおるシーンがありますが非常に印象的で美味しそうで堪りません。

しかしバーテンダー的にはこのバーの名前が引っかかるのですがその名もアメリカーノ、場所はイタリアです。

イタリアでアメリカーノといえばやはりイタリア生まれで100年以上も前に生まれたといわれる歴史あるスタンダードカクテル、その名も『アメリカーノ』。

あるイタリア人がアメリカ人ジャーナリストの為に創作したとされ、劇中のエイドリアン・ブロディもアメリカ人役・・・

飲んで欲しかったなぁ・・・(笑)

長文失礼しました・・・興奮してしまい・・・